ミチが幼稚園に着くとクラスメイトが集まってはしゃいでる。ミチも何となくその輪に近づいた。
「お誕生日おめでとうーーー、プレゼント何もらったのー?」
そうか今日はクラスで人気者のヤッちゃんの誕生日なんだ。ヤッちゃんは照れくさそうに笑ってる。
(何を照れているんだ?)
ミチは考えるが、答えが見つからなかったので考えるのをやめた。
そして今日はバレンタインでもある。先生のアイデアで男子を並ばせて女子が一斉に好きな男子にチョコを渡すことを提案。早くついた女子がチョコを渡せる。なんとも面白いルール。
クラスのほとんどの女子はヤッちゃん狙い。ミチもやっちゃんに狙いを定めた。
「用意はいい?よーいどんっで、男の子に渡すんだよー」
「よーい、どんっ」
ダダダダダダ、、╰( ๑•̀ㅁ•́)╮=͟͟͞͞
一斉に女子が男子に駆け寄る。
ミチは狙った獲物は逃がさない。ここぞとばかりにダッシュでヤッちゃんの腕を捕まえた。
(よっしゃー!)
ヤッちゃんは絶妙な顔をしていた。ミチはそんな事はお構いなしに目標を達成出来て満足顔だった。
ヤッちゃんがチョコを食べたかとか喜んだとかなんてミチにはどうでもいいことだった。単純に目標を決めて達成したことで、もうそれで満足だった。
ふと周りを見ると、ヤッちゃんに渡せなかった女子が仕方なく他の男子にチョコを渡していた。
(渡したくなければ渡さなきゃいいのに、なんで先生の言うこと全部聞くんだろう)
ミチは不思議な気持ちになった。
【本日の報告】(📞’ω’)
①感情表現がストレートではないが、人間に設置された感情機能が正常稼働していると思われる。②ルールを全部受け入れて楽しくない顔をする意味の分からない生き物。研究が必要。
「はーい、じゃあ帰りの時間です。みなさん、さようならー」
ママがお迎えに来た。ミチはママの顔を見るなり
「ママはパパにチョコあげるの?」
「うん、あげるよ」
ミチは嬉しかった。
(ママも狙った獲物は逃がさないってことなんだな、ふふふ)
ミチはまだ人間をよくわかってなかった。ミチの人間体験はまだまだ続く。
※この物語は事実を元に作っています。
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